HYROXスプリット表: 目標タイム別の記録シート

HYROXのタイム改善は、まず自分の現在地を知ることから始まります。90分・75分・60分の3つの目標タイム別に、Run / Station / Roxzone すべてのスプリット目安を一覧化しました。レース間比較シートの使い方も解説します。

HYROXスプリット表: 目標タイム別の記録シート

1. 結論: まずこの表で自分の位置を確認

HYROXは全16区間(Run 1〜8、Station 1〜8)に加え、Roxzone の切り替え時間で構成されます。総合タイムだけを見ても、どこが得意でどこが課題なのか分かりません。スプリット表を使えば、自分のタイムが目標に対してどの位置にあるかを区間ごとに確認できます。

この記事では、3つの目標レベルのスプリット表を用意しました。

レベル目標総合タイムRun平均Station平均対象者
Level 1約90分5:30〜6:00/km3:00〜4:30初参加〜2回目
Level 2約75分4:30〜5:00/km2:00〜3:30中級者・サブ80狙い
Level 3約60分3:30〜4:00/km1:30〜2:30上級者・Pro入り狙い

まず自分の直近のレースタイムと照らし合わせ、最も近いレベルのスプリット表を基準にしてください。各 Station の名称と順番は以下の通りです。

  • Station 1: SkiErg(1,000m)
  • Station 2: Sled Push(50m)
  • Station 3: Sled Pull(50m)
  • Station 4: Burpee Broad Jumps(80m)
  • Station 5: Rowing(1,000m)
  • Station 6: Farmers Carry(200m)
  • Station 7: Lunges(100m)
  • Station 8: Wall Balls(100回)

スプリット管理そのものの考え方は スプリット管理ガイド で詳しく解説しています。記録の残し方が決まっていない方は 記録方法ガイド を先に読むと整理しやすいです。

2. 目標90分のスプリット表

初参加から2回目の選手が現実的に狙える水準です。Run は歩かずに走り切ることを前提にしつつ、後半の失速を織り込んでいます。Station は種目ごとの特性に合わせて幅を持たせています。合計は約92分前後で、コース条件やコンディションによる誤差を吸収できる設計です。

Run スプリット(目標90分)

区間目安タイム備考
Run 15:30ウォームアップ感覚。飛ばさない
Run 25:30SkiErg後。呼吸を整えながら
Run 35:40Sled Push後。脚の重さが出始める
Run 45:40Sled Pull後。握力疲労に注意
Run 55:50Burpee後。心拍が高い状態
Run 65:50Rowing後。脚と背中の疲労
Run 76:00Farmers Carry後。前腕と肩の疲れ
Run 86:00Lunges後。最も脚が重い区間

Run 合計: 約45:40

Station スプリット(目標90分)

Station種目目安タイム備考
Station 1SkiErg4:30ペース 2:15/500m。無理に飛ばさない
Station 2Sled Push3:00床面次第で大きくブレる。止まらないことが最優先
Station 3Sled Pull3:00手繰り動作のリズムを一定に
Station 4Burpee Broad Jumps4:0080mを一定リズムで。途中で立ち止まらない
Station 5Rowing4:00ペース 2:00/500m。脚を使いすぎない
Station 6Farmers Carry3:00200mを歩き切る。握力が先に落ちる
Station 7Lunges4:30100m。後半で膝がブレやすい
Station 8Wall Balls4:30100回。20回x5セットで分割推奨

Station 合計: 約30:30

Roxzone(目標90分)

項目目安タイム
Roxzone 1回あたり0:20〜0:30
Roxzone 合計(16回)約6:00〜8:00

総合目安: 45:40 + 30:30 + 7:00 = 約83:10(Run/Station合計) + Roxzone = 約90:10

Roxzone を含めた合計が92分前後に収まれば、90分切りは十分に射程圏内です。90分の壁を超えるペース戦略 も合わせて読むと、後半の崩し方の具体策が見えます。

3. 目標75分のスプリット表

3回以上の出場経験があり、スプリットの傾向を把握している中級者向けです。Run は全区間5分以内、Station は種目ごとに明確なペース設定が求められます。

Run スプリット(目標75分)

区間目安タイム備考
Run 14:30抑え気味に入る。4:20で入ると後半に響く
Run 24:30SkiErg後。巡航ペースを維持
Run 34:40Sled Push後。脚の切り替えを意識
Run 44:40Sled Pull後。上半身疲労をランで回復
Run 54:50Burpee後。心拍管理が鍵
Run 64:50Rowing後。ここから粘る区間
Run 75:00Farmers Carry後。肩周りの疲れ
Run 85:00Lunges後。ラスト1kmを走り切る

Run 合計: 約37:40

Station スプリット(目標75分)

Station種目目安タイム備考
Station 1SkiErg3:30ペース 1:45/500m。安定したストローク
Station 2Sled Push2:00低い姿勢を維持。途中で立たない
Station 3Sled Pull2:00手繰りのテンポを崩さない
Station 4Burpee Broad Jumps3:0080mを効率的に。ジャンプ距離を稼ぐ
Station 5Rowing3:30ペース 1:45/500m。ドラッグファクター確認
Station 6Farmers Carry2:00200mを早歩き〜ジョグペース
Station 7Lunges3:30100m。テンポを一定に保つ
Station 8Wall Balls3:30100回。25回x4セットが目安

Station 合計: 約23:00

Roxzone(目標75分)

項目目安タイム
Roxzone 1回あたり0:15〜0:25
Roxzone 合計(16回)約5:00〜6:30

総合目安: 37:40 + 23:00 + 5:40 = 約66:20(Run/Station合計) + Roxzone = 約72:00〜77:00

75分を切るには、Run と Station の両方がバランス良く仕上がっている必要があります。どちらかだけが速くても、もう一方がボトルネックになると75分は切れません。

4. 目標60分のスプリット表

Pro Division を視野に入れるレベルです。Run は全区間を4分/km以内で通過し、Station は種目ごとに高い技術と体力が求められます。ここに到達するには、週5〜6日のトレーニングと種目別の専門練習が前提になります。

Run スプリット(目標60分)

区間目安タイム備考
Run 13:40ペースを作る。飛ばしすぎ注意
Run 23:40SkiErg後。すぐにペースを戻す
Run 33:45Sled Push後。脚の切り替え速度が重要
Run 43:45Sled Pull後。上半身の回復を意識
Run 53:50Burpee後。ここで崩れると60分は厳しい
Run 63:50Rowing後。脚の温存がどこまでできたか
Run 73:55Farmers Carry後。残り2本
Run 84:00Lunges後。最後の1km全力

Run 合計: 約30:25

Station スプリット(目標60分)

Station種目目安タイム備考
Station 1SkiErg2:45ペース 1:22/500m。パワー出力を維持
Station 2Sled Push1:30爆発的に押す。止まったら大きなロス
Station 3Sled Pull1:30高速で手繰る。テクニックが差を生む
Station 4Burpee Broad Jumps2:1580mを最少回数で。ジャンプ効率重視
Station 5Rowing2:45ペース 1:22/500m。後半のための脚の温存
Station 6Farmers Carry1:30200mをジョグペース。グリップ強化必須
Station 7Lunges2:30100m。テンポを落とさず一定リズム
Station 8Wall Balls2:30100回。ノンストップ or 50-50分割

Station 合計: 約17:15

Roxzone(目標60分)

項目目安タイム
Roxzone 1回あたり0:10〜0:20
Roxzone 合計(16回)約3:00〜5:00

総合目安: 30:25 + 17:15 + 4:00 = 約51:40(Run/Station合計) + Roxzone = 約55:40〜61:40

60分を切るには、全区間で無駄を排除する必要があります。特にRoxzone のロスを最小化することが重要で、レース前にコースの動線を完全に頭に入れておくことが前提です。

5. レース間比較シートの使い方

スプリット表は、1回のレースの目標設定だけでなく、複数レースの比較にも使えます。2つのレースのスプリットを横に並べることで、どの区間が改善し、どの区間が悪化したかを一目で可視化できます。

比較シートのテンプレート

区間レースAレースB判定
Run 15:305:20-0:10改善
Station 1 (SkiErg)4:304:15-0:15改善
Run 25:355:25-0:10改善
Station 2 (Sled Push)3:103:30+0:20悪化
Run 35:505:40-0:10改善
Station 3 (Sled Pull)3:002:50-0:10改善
Run 45:455:35-0:10改善
Station 4 (Burpee BJ)4:104:00-0:10改善
Run 56:005:50-0:10改善
Station 5 (Rowing)4:003:50-0:10改善
Run 66:105:55-0:15改善
Station 6 (Farmers C.)3:002:55-0:05改善
Run 76:206:10-0:10改善
Station 7 (Lunges)4:404:50+0:10悪化
Run 86:306:15-0:15改善
Station 8 (Wall Balls)5:004:30-0:30改善

上の例では、全体的に改善しているものの、Sled Push と Lunges が悪化しています。このように区間別に可視化すると、「総合タイムは縮んだが、実は退化している区間がある」という見落としを防げます。

比較シートの読み方

  • 差がマイナス: レースBのほうが速い(改善)
  • 差がプラス: レースBのほうが遅い(悪化)
  • 悪化した区間が2つ以上: その区間に共通する原因を探す(例: 後半の Station が軒並み悪化しているならスタミナ不足)

レース間の比較が初めての方は、記録テンプレート を使うと入力が楽になります。後半3区間の分析 と組み合わせると、改善ポイントがさらに絞り込めます。

6. スプリット表の活用例

スプリット表は「眺めるもの」ではなく「次のレースまでの練習計画を決めるツール」です。以下の手順で活用してください。

Step 1: 自分のスプリットを記入する

直近のレース結果を、上のスプリット表と同じフォーマットで書き出します。公式リザルトに区間タイムが載っていない場合は、GPS ウォッチのラップや動画から推定してください。

Step 2: 目標スプリットとの差を計算する

自分のタイムと、目標レベルのスプリット表の差を区間ごとに出します。差が大きい区間ほど、改善のインパクトが大きいです。

Step 3: 改善の優先順位を決める

すべての区間を同時に改善しようとすると、練習が散漫になります。以下の基準で優先順位を付けてください。

優先度基準
目標との差が最も大きい区間Wall Balls が目標より2分遅い
差は中程度だが練習で改善しやすい区間Sled Push のフォーム修正で30秒短縮
差が小さい or 改善に長期間かかる区間Run の持久力ベースアップ(月単位)

Step 4: 練習メニューに落とす

優先度「高」の区間を週2回の練習に組み込みます。たとえば Wall Balls が課題なら、通常のトレーニングに加えて週2回、100回のWall Balls をセット分割で行います。残りの練習日はランニングと他の Station をバランスよく回します。

この一連の流れを スプリット管理ガイド と合わせて実践すると、レースごとに確実にタイムが縮まるサイクルが回り始めます。

7. よくある質問

Q1 初レースで目標タイムをどう設定すればいいですか?

初レースなら90分のスプリット表を基準にしてください。Run 5:30〜6:00/km、Station は余裕を持った配分で十分です。完走を最優先にし、2回目以降に75分表を狙うのが現実的です。無理に速い目標を置くと、後半で大きく崩れる原因になります。

Q2 Runが遅い人とStationが遅い人で対策は違いますか?

はい、明確に違います。Run が遅い場合は有酸素ベース(週3回のゾーン2ラン)の強化が先決です。Station が遅い場合は、ボトルネックとなっている1〜2種目を特定し、週2回の専用練習で集中改善するのが効率的です。両方とも遅い場合は、まず Station のワースト種目から手を付けると、短期間で総合タイムが縮みやすいです。

Q3 Roxzoneのタイムもスプリット表に含めるべきですか?

含めるべきです。Roxzone は1回あたり15〜30秒ですが、16回の切り替えで合計4〜8分になります。スプリット表に Roxzone を含めておくと、実際のレースタイムとの乖離が小さくなり、よりリアルな目標設定ができます。特に90分前後の選手は、Roxzone の短縮だけで2〜3分の改善が見込めます。

8. まとめ

HYROXのタイム改善は、総合タイムを漠然と追うのではなく、区間ごとのスプリットを把握し、課題を特定し、優先順位を付けて練習に落とすことで加速します。

  • 90分目標: Run 5:30〜6:00、Station 3:00〜4:30。まず完走の安定を
  • 75分目標: Run 4:30〜5:00、Station 2:00〜3:30。バランス良い仕上がりが必要
  • 60分目標: Run 3:30〜4:00、Station 1:30〜2:30。全区間で無駄を排除

レース間の比較シートを使えば、改善と悪化が区間別に可視化でき、次のレースへの練習計画が具体的になります。まずは自分の直近のタイムをスプリット表に当てはめて、現在地を確認してください。

出典・確認元

HYROXの競技構造確認には HYROX The Fitness Race を参照しています。

スプリット目安は、公式リザルトデータの中央値・四分位範囲と、既存の スプリット管理ガイド および 90分の壁ペーシング記事 の実務知見を踏まえて設定しています。