HYROXで90分を目指す|ラン・種目・移動のペース配分

HYROXの90分目標を、8本のラン、種目、Roxzoneへ分けて考える方法。架空の配分例と、自分の記録から計画を調整する観点を説明します。

フォートマイヤーの屋内施設でケトルベルを運ぶ参加者
米国フォートマイヤーの施設でケトルベルを運ぶ競技参加者。
Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

HYROXで90分を目指すとき、「1kmを何分で走ればよいか」だけでは計画ができません。8本のランだけでなく、8種目とRoxzoneの移動も同じ90分に入るからです。ランの数字だけを速く設定すると、種目で長く止まったときに計画が崩れます。

初出場では、まず無理なく楽しく完走することを優先したいというのが私の考えです。そのうえで、練習や実際の区間記録が揃い、90分という目標を考える人向けに、時間を配分する方法を説明します。ここに出す数値は計算例で、完走やタイムを保証する基準ではありません。

90分を、ラン・種目・移動に分ける

例えば、8本のランを平均5分30秒で走るとラン合計は44分です。種目に38分、Roxzoneに6分を使えば合計88分で、90分までは2分の余裕になります。これは仮の予算で、実際の選手の平均値ではありません。

項目計算例合計
ラン8本5分30秒×8本44分
8種目全種目を合わせた仮予算38分
Roxzone移動・準備の仮予算6分
合計ペナルティを含まない88分

種目と移動にもっと時間が必要なら、同じランペースでは90分に収まりません。逆に、種目時間を根拠なく短く見積もり、ランを遅く設定しても実行できる計画にはなりません。先に自分の記録を当てはめて不足を確認します。

公式結果でRoxzoneとラン合計が別々に表示されている
ランとRoxzoneを分けて表示する公式結果。
出典:HYROX公式結果サイト

同じ90分目標でも、ランの配分は三通りに変わる

比較用に、いずれも合計88分で2分の余裕を置いた計算例を並べます。種目の38分・34分・41分は、便宜的に置いた数字です。ペナルティは予算に含めず、Roxzoneには予想される移動を入れます。

例ラン平均(8kmの合計)8種目Roxzone合計/余裕
ラン44分型5:30/km(44分)38分6分88分/2分
ラン48分型6:00/km(48分)34分6分88分/2分
ラン40分型5:00/km(40分)41分7分88分/2分
88分の3例。ラン・種目・Roxzoneは順に44分・38分・6分、48分・34分・6分、40分・41分・7分
いずれも計算例。ランが同じ速さでも、種目や移動の時間によって総合は変わります。

ランを全部30秒速くすれば計算上は4分短縮しますが、後半に歩いた時間や種目の休憩が4分増えれば差は消えます。設定するのは序盤の最速ペースではなく、後半も崩れずに続けられた範囲です。


単独の1kmベストを8倍しない

休んだ後の1kmと、スレッドやランジを終えた後の1kmは、同じ条件ではありません。短い距離のベストタイムをそのまま8本へ並べるより、部分的な模擬練習で繰り返せたペースを使う方が、計画の出発点として比較しやすくなります。

前半が速く後半が大きく落ちるなら、最初のランを抑える試し方があります。ただし、全員が同じペースで走るべきだと決めるものではありません。種目とランをつなぐ練習で、自分が継続できる速度を確かめてください。

ランの間には、スキーエルゴなどの種目が入ります。
ランの間には、スキーエルゴなどの種目が入ります。
写真:Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

1kmを何分で走れるかだけでは、90分の見込みは立たない

1kmを5分で走れれば、ラン8本で40分です。ところが、それだけでは残り50分で全8種目と移動を終えられるかが分かりません。さらに、種目の直後の1kmが、普段のランと同じように走れるとも限りません。最初に置きたいのはランの目標速度より、ラン・ワークアウト・Roxzoneの三つに自分の記録があるかです。

実測がない種目は、最速を想像して埋めず、まず器具を扱う練習から始めます。スレッドを一度も使っていなければ、重さだけ見て所要を決めることはできません。ウォールボールも、単独で投げた100回と、有効100回を終えた時間は別です。未確認の欄が多い段階では、90分から逆算した数字を参加の合否判定にしない方がよいでしょう。

スレッドのハンドルを押し人工芝を進む参加者
スレッドは重量と床、片道の距離によって練習条件が変わります。米国フォートマイヤーの競技風景。
Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

ラン単独の時間は、普段の練習を考える手がかりになります。その後は、扱い慣れた種目を一つ挟み、もう一度短く走った記録を取ります。前半のランを少し抑える日と普段の配分の日を比べたいなら、種目と休み方は変えません。全体の時間と最後の動作を併せて見ると、速い一本を作ることから、続けられる配分へ考え方を移せます。

二人で出る場合には、相手と同じペースで走る時間と、交代の操作も含まれます。Singlesの種目予算を半分にして二人分のランへ足すだけでは、Doublesの見込みにはなりません。自分の形式のルールと負荷で、二人がどの配分なら次のランへ進めるかを試す必要があります。


一番長い種目ではなく、変えられる時間を見る

種目ごとの距離や作業量が異なるため、時間が長い種目をそのまま悪い区間とは判断できません。ウォールボールでの休憩、スレッドの持ち直し、器具へ入る前の迷いなど、実際に何が起きたかと合わせて読みます。

例えば休憩を短くするつもりで大きなセットを組み、後半に長く止まってしまったなら、セットを小さく分ける方が総時間を抑えられるかを練習で比較できます。急いだ結果ノーレップが増えれば、想定した短縮にはなりません。

当日の崩れ方も先に決めておきます。例えば、予定88分で進み、ある種目が予定より2分長ければ、他が予定どおりでも合計90分です。そこで残りを全力で取り返す必要はありません。ノーレップを増やさないセットや、実際に維持できる走りへ切り替えます。遅れの原因は後で確認し、次の計画では同じ種目の見積もりを調整します。

サンドバッグを肩に載せ、屋内のコースを進む参加者
米国フォートマイヤーのHYROX形式の競技でサンドバッグを担ぐ参加者。ペースの計画には種目の時間も含めます。
Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

会場の周回とペナルティを計画から抜かない

公式ルールでは、会場ごとの指定周回数を競技者自身が把握する必要があります。余分な周回や入口の迷いを減らすため、会場図と選手案内を確認します。必要な周回を省いて時間を合わせることはできません。

計測チップや判定による公式結果と、時計で自分が測ったラップが違うこともあります。計画を評価するときは公式結果を基準とし、移動とペナルティも確認してください。形式と計測の責任は26/27シングルス公式ルールブック7・11・12章に記載されています。

ダラス2025の会場図にラン周回、INとOUT、8種目とウォームアップエリアが示されている
ダラス2025の公開会場図。周回や入口・出口は会場ごとに異なります。
出典:HYROX Benelux

38分の種目予算も、8種目に分けて確かめる

「種目を38分」と一括で置いても、自分がその配分で動けるかは分かりません。次は38分の中身を八つに分けた算術上の例です。実測の平均値でも、90分切りに必要な各種目の合格タイムでもありません。実際は自分の部門の重量と、有効動作で記録した時間に置き換えます。

種目時間の例自分の記録で確認すること
SkiErg5:001,000mの終わりと完了確認まで含むか
Sled Push3:3050mを完了したか。持ち直しを含むか
Sled Pull4:30ロープの整理、往復、停止まで含むか
Burpee Broad Jump5:0080mの有効動作で測れたか
Row5:001,000m完了と確認まで座っていたか
Farmers Carry2:00200m、途中に置いた時間を含むか
Sandbag Lunge5:00100m、立ち上がりと後ろ膝を確認したか
Wall Balls8:00有効100回、休憩と無効回数を含むか
合計38:00移動はRoxzoneへ分けて計算

自分のウォールボールが10分で、他の種目が例と同じなら、種目合計は40分です。ラン44分、Roxzone6分を足すと90分で余裕はありません。ここで表の数字に合わせて無理に8分と書くより、全体の目標を動かすか、練習で変えられる区間を選びます。

同じように、スレッドが違う床で軽く動いた記録は、そのまま大会の3分30秒へ置き換えられません。本番に近い器具を使える日でも、床と距離の条件を残します。ランの計算も、時計で1kmになったところで種目へ入れるわけではなく、会場の指定周回を使うことが前提です。

目標を90分にするか、別のタイムへ変えるか

練習で集めた区間を足して100分になるなら、90分へ足りない10分をどこから見込んだのか説明できるかを考えます。初めての大会であれば、細かな短縮を前提にせず完走を目標にし、結果を取ってから次のタイムを決める方法があります。すでに記録がある人は、休憩、器具操作、移動など、何が変わったかを確かめた分だけ予算へ反映します。

時計に平均ペースだけを表示すると、Roxzoneや種目を含んだ値が混じる場合があります。自分の時計でどの区間を計測しているかを練習で確認し、当日の会場表示やスタッフの案内と食い違ったら公式の周回を優先します。目標の数字を見続けるより、自分が何周目で、次にどの種目へ入るかを分かっていることが先です。

レース後には、予算と実績を並べて差を見ます。ランが予定どおりでも、種目で置いた時間が多ければ、次の練習はセット分けへ。種目は近いが移動で迷ったなら、会場の準備へ。目標との差を全部走力で埋めようとせず、次の練習で比べられる一つの条件へ戻します。

最後の種目でボールを投げ上げる参加者。
最後の種目でボールを投げ上げる参加者。
写真:Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

予算から外れたときは、残りの種目と使える時間を分ける

模擬練習や大会で予定から遅れたとき、残り全部のランを急に速くするのが答えとは限りません。スレッドで想定より時間がかかったのか、器具待ちなのか、有効な回数が進まなかったのかで、後からできる見直しが違います。走る速さだけを上げて埋めようとすると、さらに後の種目で止まる可能性もあるため、配分は全体の流れから考えます。

練習後に予算表を直すなら、想定と実際を同じ欄へ並べます。ラン8本、各種目、移動と準備、計画した休憩、器具待ちを分け、タイムを取れなかった場所は空欄にします。速くするために休憩や待ち時間を記録から消すのではなく、競技と比べられない部分を注記して扱います。

公式結果を持っている人は、Overall Time、Run Total、Roxzone Time、各種目のTimeをそのまま転記できます。Best Run Lapは最速の一本なので、その値を8倍して自分のランの合計に置き換えないようにします。個々の行を読む手順は公式リザルトの見方で実画面とともに説明しています。

90分を目標にする場合も、毎回90分へ向けて全量を通す必要はありません。まだ操作を覚えていない種目があるなら動作、特定の種目の直後だけ走れないならその接続、全体の待ち時間が大きいなら利用枠の組み方、と練習を分けられます。予算表は練習を厳しくする根拠ではなく、何がまだ分からないかを見つける道具です。

私は初出場では、まず楽しんで完走できることを優先したいと考えています。90分の数字が気になって動作の基準や体調を後回しにするなら、目標の順番を戻して構いません。結果が出たら、その中で次に短くしたい区間を一つ選ぶ。その積み重ねで、自分に合うペースの考え方を作れます。

ローイングマシンで動作を続ける参加者。
ローイングマシンで動作を続ける参加者。
写真:Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

よくある質問

1kmを5分で走れれば、90分を狙えますか?

ランの速さだけでは判断できません。種目とRoxzoneの時間を足し、種目の後にも同じように走れるかを確認します。まず自分の区間記録をそろえ、仮の数字だけで見込みを立てないようにしましょう。

本文の種目予算に合わせて練習すればよいですか?

表の数字は計算方法を示す例で、各種目の合格タイムではありません。部門や器具の条件をそろえた自分の記録に置き換え、未計測の項目は推測で埋めずに確認してください。

予定より遅れたら、残りのランで取り返すべきですか?

残りすべてを急に速くすることだけが選択肢ではありません。実際に維持できる配分と有効な動作を優先し、どこで遅れたかは後から記録で確認します。次の計画では、その区間の見積もりを見直しましょう。


まとめ

90分の計画は、ラン8本の時間だけでなく、種目とRoxzoneを足して考えます。架空の予算を目標の数字に合わせるのではなく、自分の練習記録から組み立ててください。

初回は完走を優先し、タイムを狙う段階では一つの条件を変えて確かめます。区間タイムの表に記録を並べると、目標との差と次の課題が見えやすくなります。

山野井 秀太
山野井 秀太

編集メンバー

HYFITの編集メンバー。ウエイトトレーニングとボクシングに取り組み、スクワット・ベンチプレス・デッドリフトのBIG3は合計450kg。筋力を伸ばす練習と、技術や持久力が問われるボクシングの両方を続けている。HYFITでは、競技ルールやジムの公式情報を確認し、HYROXを始める人に向けた記事を制作する。

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