HYROXの8種目|順番・距離・重量と動作のポイント

HYROXの8種目を競技順に解説。スレッドのソリ込み重量、キャリーの片手重量、ウォールボールの有効回数など、練習前に知りたい違いを整理します。

スキーエルゴを使う参加者
米国フォートマイヤーで行われたHYROX形式の競技。
Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

HYROXの種目名を覚えるだけなら難しくありません。ただ、ジムで動作を試すと「何m押せば終わりか」「このスクワットは1回に数えられるか」と、別の疑問が出てきます。競技では、動けたことと有効な動作を完了したことが同じとは限りません。

ここでは26/27シーズンの一般Singlesを基準に、8種目を順番に見ていきます。各種目の前には1kmのランが入り、ランの合計は8kmです。DoublesやRelayでは担当範囲も違うため、練習に使う重量を決める前に参加形式を確認してください。

8種目の順番と距離を先に確認する

最初のスキーエルゴから最後のウォールボールまで、順番は決まっています。重量は部門ごとに列を分けています。スレッドはソリを含む総重量、キャリーは片手に持つ一つ分の重量として読んでください。

順番・種目距離・回数Women OpenMen OpenWomen ProMen Pro
1. SkiErg(スキーエルゴ)1,000m――――
2. Sled Push(スレッドプッシュ)50m(12.5m×4区間)102kg152kg152kg202kg
3. Sled Pull(スレッドプル)50m(12.5m×4区間)78kg103kg103kg153kg
4. Burpee Broad Jump(バーピーブロードジャンプ)80m自重自重自重自重
5. Row(ローイング)1,000m――――
6. Farmers Carry(ファーマーズキャリー)200m各16kg各24kg各24kg各32kg
7. Sandbag Lunge(サンドバッグランジ)100m10kg20kg20kg30kg
8. Wall Balls(ウォールボール)有効100回4kg6kg6kg9kg

どの部門でもランの距離は同じですが、重さは同じではありません。表を保存するときも、種目名と自分の部門の列を一緒に残すと、別の部門の重さで準備してしまうのを防げます。

参照:26/27 Singlesルールブック:4.1・8

8種目の順番 前半。SkiErg、1,000mを引く。Sled Push、ソリを押して50m。Sled Pull、ロープでソリを引いて50m。Burpee Broad Jump、バーピーと前方ジャンプで80m
それぞれの種目の直前に1kmのランが入ります。
8種目の順番 後半。Row、座って1,000mを漕ぐ。Farmers Carry、両手に重りを持って200m。Sandbag Lunge、バッグを担ぎランジで100m。Wall Balls、しゃがんで投げて有効100回
後半も各種目の前に1km走ります。規定重量は上の表で部門別に確認してください。
人工芝の上にソリや器具が並ぶ屋内フロア
器具が置かれた競技フロア。米国フォートマイヤー。 Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

スキーエルゴとローイングは、終わり方まで練習する

スキーエルゴは、ハンドルを上から引き下ろして進める種目です。足を置く台から外れずに動作し、1,000mが終わったら台の上で手を上げ、審判が完了を確認してから離れます。数字が1,000になった瞬間に走り出す、という動作にはしない方がよいでしょう。

ローイングも1,000mですが、こちらはシートに座り、脚と上体、腕を連動させてハンドルを引きます。距離の完了と審判の確認まではシートを離れません。まず扱い方を教わり、短い距離でも一定の動きを繰り返せるかを確かめてから、ランとつないでいきます。

練習で機器を使うときは、先に距離表示を見つけ、あと何mかを把握できるようにします。初めは短い距離で、スキーエルゴなら引き終わった後に手を戻す動き、ローイングならシートの上で脚を伸ばす順序を確認。追い込む日は別にして、両方で「表示を読む → 動作を終える → 確認を待つ」まで試しておくと、種目の切り替えを練習できます。

スキーエルゴのハンドルを強く引くことだけに意識が向くと、戻す動作やモニターの確認が抜けることがあります。ローイングでも、足の固定をきつく締めた後にどう外すかを知らないと、漕ぎ終わってから慌てます。初回はタイムを測る前に、乗る、固定する、表示を確認する、離れるという一連の操作を教わってください。

機器のダンパー設定も、重いほどよいと決めつけず、自分が動作を続けられる条件を指導者と探します。設定を変えた日は、練習記録に数字を残すと次回に再現できます。公式の初期設定や変更できる範囲と、練習で自分が使った設定を混ぜないようにしておきましょう。

26/27の公式設定は、SkiErgとRowのダンパーが初期値6。自分で変更できます。Rowの足置きは初期位置4で、開始前に調整できます。練習では、いつも使う設定の数字だけでなく、会場で初期値が違ったら何を確認するかも覚えておくと、座ってからの操作に迷いにくくなります。

フォートマイヤーの屋内施設でローイングマシンを使う参加者
ローイングの距離表示と足の固定も確認しておきます。 Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

Rowで休む場合は、ハンドルをホルダーへ戻し、座ったまま休めます。ただし1,000mと審判の確認を終える前に立ち上がったり、座席から離れたりすることはできません。練習で残りの距離を少なく設定した日も、数字の完了と確認を待つところまで一つの手順にすると、距離だけをこなす練習から進められます。


スレッドの50mは「4往復」ではない

同じ重量を載せても、ソリや床面が違えば動かしやすさは変わります。ジムの数字だけで本番の軽さを予想するより、正しい姿勢と動かし続けられる負荷で練習し、参加部門の重量へどう近づけるかをコーチに相談する方が準備しやすくなります。詳しくはスレッドとRoxzoneの練習へ。

ソリを動かす参加者と、そばで見守る人
スレッドを使う場面。米国フォートマイヤーで行われたHYROX形式の競技。 Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

プレートだけを足した重さと、本体を含む総重量を混ぜないようにします。例えば練習の記録には「プレートの合計」「ソリ本体の重さが分かる場合は総重量」「床の種類」を別々に記入。同じ施設で前回と比べるときにも、負荷が増えたのか、床やソリが変わったのかを見分けやすくなります。


跳ぶ・運ぶ・ランジは、進んだ距離と完了位置を見る

バーピーブロードジャンプは、胸を床に着けるバーピーと前方へのジャンプを繰り返して80m進みます。大きく跳ぶことより、両足を揃えて跳び、動作基準を崩さずに続けることが先です。

ファーマーズキャリーは両手にケトルベルを一つずつ持って200m。途中で置いて休むことはできますが、置く動きで前へ進めてはいけません。最後は運びきった後に指定の場所へ戻します。サンドバッグランジは左右交互に100m進み、後ろ膝の接地と立ち上がりを確認します。器具を持って歩けることと、競技の動作を続けられることを分けて練習しましょう。

両手にケトルベルを一つずつ持って歩く参加者
ファーマーズキャリーの持ち方。米国フォートマイヤーで行われたHYROX形式の競技。 Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

この三種目を狭いジムで練習するときは、無理に大会と同じ距離を確保する必要はありません。区切りの短いコースを使い、キャリーなら途中で置く位置、ランジなら交互に足を出すこと、バーピーなら着地から次の一回へ移ることを別々に見ます。往復の回数だけで出来を評価すると、途中の基準が抜けやすくなります。

キャリーでは握り続けられるか、ランジでは左右を交互に進めるか、バーピーでは床から立ち上がって跳ぶ動きを続けられるか、と最初に見る箇所が違います。三つを一度にまとめて疲労だけで評価するより、動作を一つずつ切り出す方が、次回に直すことが見つかります。

例えばキャリーを20mの往復で練習するなら、途中で置いた回数と、置いてから持ち直すまでの時間も記録できます。同じ距離を運んでも、毎回握り直す場合と続けて歩ける場合では、次に試す負荷は変わります。この20mはジムでの区切りの例で、競技のコース長や交代位置を示す数字ではありません。


最後のウォールボールは、投げた数ではなく有効な100回

ウォールボールはボールを持ってスクワットし、立ち上がって指定ターゲットへ投げます。深さが足りない、ターゲットに当たらないといった動作は、有効回数として進みません。疲れてから回数だけを追うより、練習のうちに深さと狙う位置を確認しておきたい種目です。

一度に100回続けることが参加条件というわけではありません。休みを挟むときも、再開して同じ動作をできるかを見ると、分割の仕方を考えやすくなります。ウォールボールの動作と練習では、無効になりやすい動きの違いを詳しく扱っています。

ウォールボールに取り組む参加者
ウォールボールを行う場面。米国フォートマイヤーで行われたHYROX形式の競技。 Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

最初の練習では、下の表から一種目だけを選び、コーチや同行者に見てほしい箇所を決めておきます。数値をこなす前に終了の合図まで含めて確認します。

種目動作・終了時に見るところ
SkiErg両足を台の上に置いて引く。距離が終わっても確認を待つ
Sled Pushソリ全体がラインを越えたか確かめて折り返す
Sled Pullロープを使う位置と、ソリがラインを越えたかを見る
Burpee Broad Jump胸を床につける。前へ跳ぶときの両足の動きを確認
Row座って漕ぐ。距離の完了と確認まで座席にいる
Farmers Carry片手に一つずつ持つ。休む際は重りを前へ進めない
Sandbag Lunge左右を交互に。後ろ膝の接地と立ち上がりを確認
Wall Ballsしゃがむ深さとターゲットへの接触を確認

これは動作の確認箇所を抜き出した表です。罰則、スタート位置なども含む基準は26/27 Singlesルールブック第8章で確認できます。


最初の器具練習で、何を持ち帰ればよいか

8種目の名前を全部覚えてからでないと体験へ行けない、ということはありません。予約前に未経験であることを伝え、当日扱う器具を確認しておけば、教わる内容を絞れます。私なら、初回は重さの記録よりも、扱い方と動作の終わり方を自分で説明できるようになることを目標にします。

帰る前に、教わった種目、使った負荷、分からなかった動作をメモします。「ウォールボールが難しかった」だけでなく、「しゃがむ深さを自分では判断できなかった」と残すと、次回にコーチへ聞く内容が具体的です。ひとりで確認できる部分と、他の人に見てもらう部分を分けて、次の練習を決めてください。

Concept2のPM3で距離や経過時間、500mペースを表示した画面
エルゴの数字は、距離・時間・ペースを分けて読みます(PM3)。 Concept2

バーピーとランジは、足を動かす位置まで確認する

バーピーブロードジャンプは80mを進む種目で、必要な回数が固定されているわけではありません。最初はスタート線の後ろに手を置き、胸を床へ着けます。起き上がった後の前方ジャンプでは両足で同時に踏み切り、同時に着地。26/27では左右のつま先の前後差は5cmまでとされています。ジャンプの長さに下限はないため、最初から大きく跳ぶことだけを目標にしなくて構いません。

次のバーピーで手を着く位置は、前足のつま先から30cm以内。手を着いた後に前へずらすこともできません。立ち上がるときに足が指先より前へ出ないこと、ジャンプの間に余計な前進の一歩を足さないことまで含めて練習します。床の目印がある施設では、施設のルールを確かめてから、コーチに手足の位置を見てもらいましょう。

サンドバッグランジは、後ろ膝が床へ触れ、膝と股関節を伸ばして一回を終える動作を左右交互に行います。途中で両足を並べて立つことはできますが、反復の間に歩いて距離を稼ぐことはできません。バッグは両肩で支え、床や柵に置いて荷重を抜くことにもペナルティがあります。キャリーで重りを置いて休めるルールを、そのままランジへ当てはめないようにしましょう。

米国フォートマイヤーの屋内コースでサンドバッグを担ぐ参加者
サンドバッグを両肩で支えて進む場面。 Sgt. Justin Rachal / U.S. Army

この二種目は、移動した距離だけでなく、終端の白線をどう越えるかも基準に含まれます。バーピーは両足が線を完全に越えるまで、ランジは前足全体が越えるまで確認。終わったつもりで通常の歩きへ戻る前に、最後の一回まで動作を続けます。26/27 Singlesルールブック8.4・8.7で図と合わせて確認できます。


よくある質問

種目は空いているものから始めてもよいですか?

いいえ。競技は決められた順番でランと種目を進めます。器具が空いているかではなく、自分が何本目のランと種目を終えたかで次の行動を確認してください。26/27 Singlesルールブックが基準です。

スレッドの重量は、載せるプレートだけの数字ですか?

この記事の表はソリ本体を含む総重量です。練習では、載せたプレートと本体を含む重さを混ぜずに記録してください。床やソリでも動かしやすさは変わるため、数字だけで本番と同じ負荷になるとは考えない方がよいでしょう。

毎回の練習で、8種目を全部行う必要がありますか?

競技の全量を毎回の練習にする必要はありません。初めてなら一つの器具の操作と動作基準を教わり、覚えた種目から短いランとつなげる進め方があります。練習量は、今の習慣と指導を受けているコーチに合わせて調整してください。


まとめ

8種目は順番、規定の距離・回数、重量、終わりの条件を一緒に覚えると、練習の目的がはっきりします。数字を全部こなす前に、まず自分の動作が基準を満たしているかを確認してください。

初めてなら、器具を使えるジムの体験クラスで教わるところから始められます。動きを覚えてから、短いランと種目をつなぐ順で慣れていきましょう。

山野井 秀太
山野井 秀太

編集メンバー

HYFITの編集メンバー。ウエイトトレーニングとボクシングに取り組み、スクワット・ベンチプレス・デッドリフトのBIG3は合計450kg。筋力を伸ばす練習と、技術や持久力が問われるボクシングの両方を続けている。HYFITでは、競技ルールやジムの公式情報を確認し、HYROXを始める人に向けた記事を制作する。

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